ソウケン:「‥‥‥しばらく、シルターンに
戻ることになった」
フォルス:「うん‥‥‥
前に、そう言ってたね」
ソウケン:「誤解してほしくはないが、これは
私自身の意思で決めたことだ」
「今回の件で、自分の未熟さを
改めて痛感した」
「ゆえに、心身ともに鍛え直すため、
しばらく修行に戻るべきではないかとな」
フォルス:「ん‥‥‥そっか、ソウケンがそう言うなら
もう引き留めてもしょうがないよね」
「さびしいけど、
あきらめるしかない、のかな‥‥‥」
ソウケン:「あ、いや、その話なのだが‥‥‥」
フォルス:「え?」
ソウケン:「その‥‥‥なんというか、だな、
まだもう少し続きがあるのだ」
「これは、その、私からというより、大祖父殿からの提案という形になるのだが、」
フォルス:「え、なに?
カズラマルさんから?」
ソウケン:「そう、大祖父殿はその、貴様のことを
なぜか、いたく気に入ったようでな、」
「どうせ戻ってくるなら
連れてこいと言い出したのだ」
フォルス:「えっ‥‥‥」
ソウケン:「だから、その、
嫌だろうとは思うが‥‥‥」
フォルス:「シルターンに!? いいの!?
行きたい、すごく行きたい!!」
「ソウケンの他のご家族にも會えるんだろ?
うわ、どうしよう、すごく楽しみだ!」
ソウケン:「‥‥‥なぬ?」
フォルス:「あ、でもどうしよう
シルターンが故郷のソウケンはいいけど」
「僕たちが界境を越えるのは、そう簡単には
許可とかとれないんじゃないかな‥‥‥」
ジンゼルア総帥:「ああ、召喚師フォルス、
こんなところにいたのか」
「お主と響友の二人分、
鬼妖界への渡航許可を出しておいた」
「書類は管理官に預けておいたから、
あとで受け取っておけ」
「まったく‥‥‥お前たちの立場を考えれば、
本來絶対に許されん話だぞ?」
「鬼妖界の重鎮であるカズラマル殿と
龍の姫君の強い力添えがあってこそのものだ」
「そのことをくれぐれも肝に銘じて、
羽目を外さぬようにするのだぞ」
「まったく‥‥‥あの方々も、
何を考えているのだか‥‥‥」
フォルス:「‥‥‥」
ソウケン:「‥‥‥」
フォルス:「えっと‥‥‥
許可、おりちゃった‥‥‥みたい?」
カゲロウ:「......って、おお!
おいらも行っていいのか、シルターン!」
ソウケン:「大祖父殿‥‥‥これは、
いくらなんでも、あまりに強引な‥‥‥」
フォルス:「あはは、どうしよう、
楽しみすぎて、どきどきしてきた」
「修行って、どんなことするの?
ソウケン、一度やったことあるんだろ?」
「あ、でも、カズラマルさんに教わるまで
何も聞かないでいたほうがいいのかな」
「じゃあ、ソウケンの家族ってどんな人たち?
おみやげ、どんなのが喜ばれるかな?」
ソウケン:「それは‥‥‥」
「‥‥‥何も、いらぬだろう
私が貴様を連れていけば、それだけで十分だ」
「なにせ古い家だ、遠方の客人こそが
何よりの酒の肴となるだろう」