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追いかけっこ

タルタリヤ | 2013-06-04 10:49:40 | 巴幣 0 | 人氣 150



フォルス:「ふあ......あふう
こんな時間に起きると、さすがに眠いな」

「二度寢したいところだけだ、
そういうわけにもいかないかな」

「ちょっと、目を覚ましに
行ってくるか......」


「おおー.....
こりゃ、いい眺めだ」

「そういえば、こんな時間にここに來たことは
なかったっけな」

「ちょっと時間を変えただけなのに、
見慣れた光景が、新鮮に見えるなぁ......」


カゲロウ:「ふわあ......
って、何やってんだよ兄貴」

「もうすぐ、出発の時間だぜ?
早く準備しねぇと、列車に遅れちまう」

フォルス:「そんなに焦るなって、
この街との名殘を惜しんでるんだ」


「ほら、カゲロウもこっちに來なよ
いい眺めだぞ?」

カゲロウ:「のんきだな、まったく
これから遠くに行くってのに」

「ライル機関、つったっけ
おいらたちを呼んでるってところは」

「これからの冥土の脅威に対抗するため、
おいらたちの力を分析したいとか......」

フォルス:「ああ、ロレイラル出身の研究者が
大勢いるところらしいね」

「きっと、僕たちの力から、
何かをつかんでくれるよ」

カゲロウ:「その後も、あちこちの組織を
回んなきゃいけないんだよな?」

フォルス:「僕たちの力を必要としている人ちたがいるなら
行かないわけにはいかないからね」

「しばらくセイヴァールには
戻ってこられそうにないかもな」

「だからこそ、今のうちに、この光景を
重い切り眼に焼き付けておきたくてさ」

カゲロウ:「その気持ちは、とてもよく
わかるんだけどよ.....」

フォルス:「不安かい?」


カゲロウ:「......まあ、な
おいらはこの街の外を、よく知らねえから」

「兄貴と一緒でもなけりゃ
外に出る気にはならなかったさ」

フォルス:「頼りないこと言うなあ」

カゲロウ:「一緒だったら、
どこにだって行くってことだぞ?」

フォルス:「それは頼もしい......のかな?」

「頼もしいといえば、カゲロウ
ずいぶんと背が伸びたよな」

カゲロウ:「へへ、気づかなかったのか?
もうすぐ、兄貴の背に追いつくぜ」

フォルス:「あはは、なんだかそのまま
追い越されそうだ」

カゲロウ:「え?あー......
確かにそうだな」

フォルス:「ん、どうかしたか?」

カゲロウ:「いや、なんていうか、おいらが兄貴を
追い越すってのが想像できなくてさ」

「追いつくところまでなら、さんざん
夢にみたんだけどよ」

フォルス:「......もしかしたら、誰かを追い越すってのは
意識してやることじゃないのかもな」

「自分では一生懸命前に進んでいた
だけのつもりだったのに、」

「気づいたら目標にしていた
誰かを追い抜いていた......」

「逆に、追い抜くことばかり考えていたら、
いつまでも背中しか見えないのかもしれない」

カゲロウ:「......兄貴......」

フォルス:「でも、君の場合は、まだ早いね
まだ僕は、カゲロウに負ける気はないから」

カゲロウ:「言ったな!
そんなら、勝負しようじゃねえか!」

「駅までどっちが先に著くか、競爭だ!」

フォルス:「よし、その勝負、受けて立つ!」



おいらがここにいるということ
生きて、考えて、動いているということ

すべての始まりは、
兄貴との出會いだった

名前も、姿も、生命も、
すべて兄貴にもらった

もし、あの日あの時、兄貴が
おいらという存在の前に落ちてこなかったら

おいらはいまごろ、
何になっていたんだ?

考えれば考えるほど、怖くなってしまう
そして同時に、感謝の気持ちで満たされていく

兄貴.......
おいらと出會ってくれて、ありがとう

おいらを形作ってくれて、ありがとう
おいらと一緒に歩んでくれて、ありがとう



「おいらと響き合ってくれて、いま、この時をくれて、ほんとうに、ありがとう」



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