大家さん:「あら~、いらっしゃい」
フォルス:「こんにちは あの二人はいる?」
大家さん:「顔を見せてすじにあの子たちの心配?
少し妬けちゃうわね」
「やっぱり、若さのせいなのかしら
二重に妬けちゃうわ」
フォルス:「大家さんはまだ若いし、
そもそもそういう問題じゃないでしょう?」
「僕はあの子たちの保護者なんだから、
何よりも優先して気にかける権利があるの!」
大家さん:「もう......
意地悪なお父さんね」
エクセラ:「あーっ?
フォルスだ! フォルスが來てる!」
ヴェローチェ:「あーっ、ほんとだ、
ショーカンシが來てる!」
フォルス:「やあ、二人とも元気そうだね
調子はどうだい?」
ヴェローチェ:「......昨日も會ってるのに、なんでわざわざ
調子を尋ねるんだ?」
フォルス:「いやほら、それはさ、
気になるものはしょうがないだろ?」
エクセラ:「エクセラは、すっごくいい感じだよ!
大勢の人が歌を聞いてくれるから、ここ好き!」
大家さん:「実際、二人ともけっこうな人気よ?
この子たち目當てのお客も増えているもの」
「最近は、大手の劇場のスカウトらしき人まで
ちらほらしているのよね」
「いっそ、夜の部までぶっつづけで
歌ってもらえないかしら」
フォルス:「それはダメです」
ヴェローチェ:「えー、橫暴だー!
歌わせろー!」
エクセラ:「朝までだって平気だぞー!
歌わせろー!」
フォルス:「ダメだ、子どもは夜には
寢るものだろう?」
大家さん:「過保護は、かえって教育に
よくないわよ?」
フォルス:「自主性どうこうを育てる前に、
まず常識を身に著けてほしいだけです」
「そうでなくても、これまで誰にも
守れなかった子たちなんだから」
「過保護といわれようと、
僕はこの子たちを守り抜きますよ」
ヴェローチェ:「......アトシュとかとは別の意味で
うっとーしーなー......」
エクセラ:「でも、イヤじゃないでしょ?」
ヴェローチェ:「ん......
まあ、ね......」
大家さん:「あ、ほらほら二人とも、
休憩時間はそろそろ終わりよ」
「早く控え室に行って著替えてきなさい
急がないと、裸でステージに上げるわよ?」
エクセラ:「ひゃあっ!?」
ヴェローチェ:「こ、これは本気の目だ!?」
エクセラ:「で、でもその前に、せっかくだから、
いってらっしゃいのキスとかそういうのを」
大家さん:「そんな時間ないから!
ほらさっさと行きなさい!」
フォルス:「......楽しそうですね
二人とも」
大家さん:「そうね、ここに來たばかりのころは
ずいぶん手のかかる子たちだったけど」
「最近になって、ようやく
慣れてきたみたい」
「保護者がはりきる気持ちもわかるわ、
ほんとにいい子たちだものね」
フォルス:「ですよね......ちょっと
いたずら好きなのが困りものですけど」
大家さん:「にやけながらぼやいても、
説得力がないわねえ」
フォルス:「にやけてなんていませんよ、僕は
召喚犯罪者の監督役ですよ?」
「これ以上ないくらいに厳しい態度で
任務にあたっているつもりです」
大家さん:「鏡ならそこにあるから、
自分の顔をよく見なさい」
フォルス:「それはともかく」
大家さん:「目をそらしたわね」
フォルス:「いずれ二人は、自分たちが重ねてきた罪と
正面から向き合わないといけません」
「そのときになって、償いの道を
正面から歩んでいけるように......」
「今のうちに、自分たち自身のことを
大切に思えるようになってほしいんです」
大家さん:「......ほんと、厳しくて優しい
監督役だこと」
「あ、ほら見なさい
二人が出てくるわよ」
「可愛い娘たちの晴れ姿、
しっかり堪能なさいな、お父さん?」