シーダ:「ところでフォルス、
來週からしばらく休暇とれないか?」
フォルス:「......え、なに、いきなり?
できないことはないと思うけど」
「街に殘ってた冥土は、アベルトたちの協(xié)力で
ほとんど片付けられたし、」
「そろそろ第一線から外れていいって
管理官さんが言ってたし」
シーダ:「そか、よーしよし
そしたら決まりだな」
フォルス:「え、いや、いったい
何の話してるの?」
シーダ:「ああ、実はそろそろ、
実家に顔を出そうと思ってたんだ」
「前に話しただろ? うちはもともと、
けっこう重たい使命を抱えた一族でさ」
「アタシにも、実はけっこう面倒な
お役目があったりすんのさ」
「ちょいと長い家出の間、ずっと
ほったらかしてきたけど」
「......今回がんばってるあんたを見てて、
アタシらもちょっとは前を向こうかなって」
「まあ、そう思ったワケ」
フォルス:「お役目って......じゃあもう、
こっちには戻ってこれなくなったりとか.....」
フローテ:「やめてよ、そんな
ぞっとしない話」
「シーダの実家って、『大樹の守護者』の
アフラーンー家なのよ?」
「アルミネスの大樹のそばなんて、神聖っぽいし
たぶん、悪魔の近づくところじゃないわ」
フォルス:「あ、そういえば......」
フローテ:「......べ、別に怖がってるわけじゃないのよ?
ただほら、居心地悪そうじゃない」
「シーダがどうしても帰りたいっていうから
それなら、仕方が無いかしらねって」
シーダ:「こいつ、ずっとアルミネスの樹を怖がって
反対してたんだけどさ」
「どういう心境の変化か、條件つきでなら
付き合ってもいいって言ってくれたのさ」
「だったら、アタシも、そろそろ
ちょっとは覚悟を決めるかねえって」
フローテ:「ちょっ、ちがっ!」
フォルス:「そっか.....
がんばったね、フローテ」
フローテ:「......だから、
怖がってたわけじゃ......」
シーダ:「ま、お勤め自體は、三日もあれば終わる
大樹の簡単なお手入れだ」
「面倒なのは、アヤジとかお姉ちゃんとかに
子どものカッコで挨拶することだな」
フォルス:「はは、それは大変そうだね
で、僕は何をすれば?」
シーダ:「いや、そこで不思議そうな顔すんなよ
さっき確認(rèn)しただろ、予定あけられるかって」
「當(dāng)然、お前も行くんだよ」
フォルス:「ええええっ!?
き、聞いてない!?」
シーダ:「だーから今聞いてるだろ?
悪いけど拒否はできないからな」
「なんせ、お前らを連れてくのが
フローテの出した條件なんだから」
フォルス:「なんで!?」
フローテ:「べ、別に他意はないわよ、
大勢のほうが退屈しなくてよさそうだからっ!」
カゲロウ:「ははっ、こりゃどうにも
逃げられそうねえな?」
フォルス:「あー......まあ、いいか
ちょっとびっくりはしたけど」
「アネゴの家族なら、何にせよ挨拶には
行っておきたいしね」
シーダ:「よし、そんじゃ話は
決まりだな」
「......覚悟は決めとけよ?
たぶん、アタシは面倒な女だぞ?」
「何せ、これまで演技以外じゃ
ろくに甘えたことがないんでね」
「加減を知らず、お前がつぶれるまで
のしかかるかもしれない」
フォルス:「できるものなら、やってみるといいよ
こう見えても、けっこう頑丈なんだ」
「アネゴとフローテくらい、
支えきってみせるさ」
フローテ:「......私も、いいんだ......」
シーダ:「あはは、ずいぶん大きな口叩いたな!
後になって後悔すんなよ?」
フォルス:「するわけがないさ、だって......」
ずっと一緒にいられる、それだけで、
僕たちは幸せなんだから......