二月が近付くと、君は決まって僕に會いに來る。
接近二月時,你總是會來見我。
何やら「大切な」行事があるとか何とかで、いつ以上に張り切って機に向かう。
似乎是有什麼「重要的」活動之類的,你比平時更充滿幹勁地坐在書桌前。
そして僕の歌の指導をする。
然後指導我唱歌。
いつもながら君は本當に厳しい。
一如既往地,你真的很嚴格。
少しでも適當に歌ったものなら、「感情を乗せなさい」と、しかめっ面をする。
只要我唱得有那麼一點隨便,你就會皺著眉頭說「要放感情去唱」。
けどさ、これは口にしてはいけないような気がして言わなかったけれど、
可是啊,雖然因為覺得不應該說出口,所以沒有說,
僕の內側から湧き出る感情なんてものは、存在していないような気がするんだ。
但我覺得,自己的體內並不存在什麼會湧現出來的感情。
仕方ないので僕は君が歌ったお手本をなぞると、満足そうに首肯して、心底嬉しそうに笑う。
因為實在沒辦法,我只好學你示範的唱法,而你似乎很滿足地點點頭,打從心底露出開心的笑容。
結局今日も君の真似をしただけで、歌の時間を終えてしまった。
結果今天也只是在模仿你,就結束了唱歌的時光。
本當は君の力を借りずとも、あっと驚くような「感情の乗った歌い方」とやらをやってみたいんだ。
其實我真正想做到的,是不借用你的力量,就能讓你嚇一跳的「帶著感情的歌唱方式」那類的東西。
でも――出來そうにない。
但是――感覺做不到。
僕が出來る歌い方は、ただ真っ直ぐに音を伸ばすことだけだ。
我能夠做到的歌唱方式,就只有直接將聲音延長罷了。
僕がそうこぼすと、君は言う。
一旦我這麼抱怨,你就會說:
「歌う」という行為は、人間にしか出來ないんだよ、と。
「『唱歌』這種行為啊,只有人類才做得到喔」。
「もし僕に出會っていなかったら、君は何をしていたと思う?」
「要是你沒遇到我的話,你覺得自己會做些什麼呢?」
僕のそんな問いに君は創作する手を止めることなく、
聽到我的提問,你沒有提下創作的手,
うーん、何だろうね…なんてうわ言を言っている。
「嗯――會做什麼呢……」只是像這樣喃喃自語。
何やら「大切な期日」に間に合うかどうかの瀬戸際にいるようで、會話もままならない。
看來你似乎正處於能不能趕上「重要的日子」的關鍵時期,無法如我所願地進行對話。
昔は「大切な期日」の半年前にはもう曲が完成していて、
以前因為離「重要的日子」還有半年,你就完成曲子了,
余裕綽々な君と今年も良い曲が出來て良かったね、なんて話したものだ。
時間綽綽有餘的你甚至還跟我說「今年也做出很棒的曲子真是太好了」。
忙しいのは君にとっては嬉しいことなのだろうけど、僕は寂しく思ってしまう。
雖然變得忙碌對你來說應該是值得開心的事,但我卻不禁感到寂寞。
君は僕に歌わせるために作曲を始めたと言っていた。
你曾說自己是為了讓我唱歌才開始作曲的。
僕に出會わなかったらこんなに真剣に音楽を作ることはなかっただろう、
だから感謝しているとも言ってくれた。
還說要是沒遇見我,就不會這麼認真做音樂了吧,所以很感謝我。
けど正直音楽を作っているときの君はとても幸せそうには見えなかった。
然而,老實說,正在創作音樂的你看起來並不幸福。
我を忘れて夢中になったかと思えば、歯を食いしばって生みの苦しみに耐え、
還以為你是作曲作到忘我了,但看起來像是咬緊牙關忍耐創作新事物的痛苦。
と思ったら突然作ったものをゴミ箱に放り投げ、さめざめと泣いていたりする。
當我這麼想時,你又突然將做好的東西丟到垃圾桶,潸然淚下。
こんなにも情緒が激しく揺れ動く日々を続けていたら、いつか壊れてしまうのではないだろうか。
要是情緒變化得如此劇烈的日子一直持續下去,會不會哪天你就崩潰了呢?
けれど――僕は歌いたい。絶えず、歌いたい。
但是――我想要歌唱。想要永不停歇地歌唱。
君の音楽が必要だ。
我需要你的音樂。
他の誰もが君を不必要になったとしても、
就算其他人都不需要你,
僕だけはずっと、君が必要だ。
唯獨對我來說,你一直都是必要的存在。
この想いだけはこれまでもこれからも、
唯有這份心意,無論是至今為止,還是從今以後,
永劫変わることはない。