「言葉ということは、一番脆いなんだ。」
雪野くんはそう言ってる、私のくちびるに彼の指で止まられた。
どうして?
「口で約束すると、ストレス溜まってしまうよ。」
うそ。
それはありえないはずなのに。
私のそばにいれる人、許す人は、ただ雪野くんなんだ。
「雪野くん!」
遠いところから女性の聲を聞こえた。かなり優しい聲。
若菜さんの聲だった。
彼女はとってもきれいし、賢いし、なんでも私より優秀。
けれども、なんか高嶺の花みたい。
「ごめん、後で聞かせて。」
彼の指がすぐ私のくちびるから離れた。
空の彼方に茜色の雲は太陽と共に沈んた。
雪野くんと若菜さんの背中をじっと見てしまい、二人は仲良く見えて、胸がぎゅっと痛くなった。
雪野くんの言葉は、まるで氷のように冷たく感じた。
彼の言葉一つ一つが、私の心に深く突き刺さる。彼が約束を避ける理由が理解できそうでもできなかった。
私たちはこれまでずっと一緒にいた、友達以上戀人未満みたいな関係、親友な関係だった。
彼の言葉に傷つきながらも、彼を信じたいと思っていた。
いや、優しい雪野くんなら、傷付くことを絶対しない。
しかし、若菜さんが現れた瞬間、全てが変わった。
彼女の聲は優しく、雪野くんも彼女に対して明らかに違う態度を見せた。
彼の指が私の唇から離れた時、私は何か大切なものを失ったような感覚に襲われた。
空には茜色の雲が広がり、太陽が沈む光景が、まるで私の心の中の景色のようだった。雪野くんと若菜さんの背中を見つめながら、彼らの関係がどれほど深いのか、私には見えない何かがあるのではないかと感じた。
私の心は混亂し、疑問が頭を駆け巡る。
雪野くんは本當に私を必要としているのか?
私たちの関係は何だったのか? これらの疑問は、彼らの姿が遠ざかるにつれ、ますます大きくなっていった。私の胸は痛みでいっぱいになり、涙がこぼれそうになった。
でも、その時、彼らの間に何かが起こった。雪野くんと若菜さんの間に緊張が走ったのだ。
若菜さんの顔には怒りが浮かび、雪野くんは彼女に何かを説明しようとしていた。
彼らの聲は遠くて聞こえないが、二人の間の喧嘩は明らかだった。
彼らの姿を見て、私の心はさらに混亂し、何を思うべきか分からなくなった。
「ううっ!」
急に、若菜さんが雪野くんの頭に、パンチで直撃。
「ダメ!若菜さん!」
私は雪野くんの側に駆け抜けた。
若菜さんの急な行動に、私は驚きと心配でいっぱいになった。
彼女の怒りがどこから來たのかは分からないが、雪野くんが傷つくのを見ることはできなかった。
無視することをできない。
私の足は、まるで何かに引き寄せられるように彼の方へと動いた。
「雪野くん、大丈夫?」私は彼の側に駆け寄り、彼の狀態を確認した。
彼の顔には驚きの表情が浮かんでいたが、幸い大きな怪我はなさそうだった。
若菜さんはまだ怒りに震えていたが、私の聲を聞いて少し落ち著きを取り戻したようだった。彼女は雪野くんを睨んでいたが、その怒りは徐々に弱まっていく様子だった。
この緊張した狀況の中で、私は雪野くんを守るために立ち上がったことに自分自身でも驚いていた。
私の心の中で、彼に対する感情がまだ殘っていることを改めて実感した。しかし、私の立ち位置はまだはっきりしない。
私は雪野くんと若菜さんの間に何があるのか、そして私の心が何を望んでいるのかを理解しようと葛藤していた。
雪野くんの怪我を見ると、こっちも我慢の限界だった。
私の聲は震えていたが、質問ははっきりとしたものだった。
「若菜さん、どうして雪野くんを毆るの?」
私は彼女の目をじっと見つめた。雪野くんの傷を見て、私の中の怒りと心配が頂點に達した。
若菜さんは一瞬言葉を失ったが、やがて彼女の顔に複雑な表情が浮かんだ。「私... 私も知らないの。ただ、急にイライラして...」彼女の聲は弱々しく、混亂しているように聞こえた。
雪野くんは私に支えられながら、若菜さんを見ていた。彼の表情は苦痛よりも、むしろ若菜さんに対する心配の方が強いように見えた。
それを見て、私の心はさらに揺れ動いた。
私は雪野くんを守りたいと思う一方で、彼が若菜さんに対して抱く感情について疑問を持ち始めていた。
雪野くんの言葉は、私たち全員にとって予期せぬものだった。「若菜、これまでありがとう、でも、キミと別れてほしい。」彼の聲は決意に満ちており、普段の彼からは想像もつかないほど斷固としていた。
若菜さんの反応は衝撃的だった。「え?」彼女の聲は信じられないという感情で震えていた。彼女の顔には驚きと混亂が浮かんでいて、この突然の宣言をどう受け止めていいか分からない様子だった。
雪野くんは深いため息をついた後、ゆっくりと続けた。「僕たちの関係はもう前に進めないんだ。キミが好きだったけど、もう変わってしまった。」彼の言葉は慎重でありながらも、彼の心の変化をはっきりと示していた。
その場にいる私も、この展開に心が亂れた。雪野くんが若菜さんと別れを告げるとは思ってもみなかった。
彼の決斷は、私たちの関係にも大きな影響を與えるだろう。
若菜さんへの同情と、雪野くんへの新たな気持ちの間で、私は複雑な感情に包まれた。
この瞬間、私たちの関係は新たな段階へと移行していくことを感じた。
あの銀色の指輪とネクレス、雪野くんの首で輝く揺れている。
この一瞬、なにが判明した気がする。
それは、クリスマスの時、雪野くんにプレゼントした、私にとって寶物なんだ。
雪野くんの首に輝くその銀色の指輪とネックレスを見て、私にはあることがはっきりと理解できた。
それは、私がクリスマスに彼にプレゼントした、私にとって非常に大切な寶物だったのだ。
彼がそのアクセサリーを大切に身につけている姿を見ると、彼の心の中に私の存在がまだ殘っていることを感じられた。
私たちの関係がどのように変わろうとも、彼にとってそのプレゼントが特別な意味を持っていることは明らかだった。
この一瞬の発見は、私の心に新たな光を燈した。雪野くんが若菜さんとの関係を終わらせた今、彼の心に私がまだ存在していることが、何よりの慰めとなった。
クリスマスのその日から今まで、私たちの間に流れていた無言の愛情が、再び確かなものとして感じられた。
それは、私たちの未來に新たな希望をもたらす光のようなものだった。
帰り道、雪野くんと私は一緒に雪だるまを作ることになった。
空はすでに暗くなり、街燈の光が雪を照らしていた。
寒い空気の中で、私たちは言葉少なに雪を転がし始めた。
最初は小さな雪球から始め、徐々に大きくしていった。
雪だるまの下部を作るのは簡単だったが、上部を作るときは二人で協力しなければならなかった。
雪野くんは雪球を持ち上げ、私はそれを定位置に置いた。
「これでいいかな?」雪野くんは微笑みながらそう言った。
その笑顔、その優しい聲、さっきの緊張感から解放されたように見えた。
私たちは雪だるまに目や鼻、口を作り、枝で腕を付けた。
冷たい手を擦り合わせながら、私たちは完成した雪だるまを見て笑った。その瞬間、私たちの間の緊張が和らいで、心が溫かくなるのを感じた。
雪だるまを作る過程で、私たちは言葉以上のものを共有していた。
互いの存在を改めて感じ、これまでの出來事について考える機會を持った。
この靜かで穏やかな時間は、私たちにとって新たな始まりのように感じられた。
雪だるまを作りながら、私たちはお互いに対する理解を深め、これからの関係を再構築する第一歩を踏み出したように思えた。
雪野くんの肌は、まるでその周りの雪のように白く、純粋な美しさを放っていた。
彼の頬に觸れたくなる衝動が、私の胸の中で広がっていくのを感じた。
彼の顔を見るたびに、その柔らかそうな肌にそっと觸れてみたいという思いが募っていった。
私たちが雪だるまを作っている間、彼の頬は寒さで少し赤くなっていた。
その赤みが彼の白い肌に映え、さらに彼の魅力を引き立てていた。私は彼の顔をそっと見つめながら、その溫かさを感じたいと思った。
しかし、そのような行動をとることには少し躊躇もあった。
彼との関係がまだ不確かな狀態で、どう接すればいいのか分からない部分もあった。
それでも、彼の頬に觸れることで、彼ともっと近づけるかもしれないという希望も心の中で芽生えていた。
私は內心で迷いながらも、彼の顔にそっと手を伸ばす勇気を持とうとした。
この小さな行動が、私たちの間に新たな一歩をもたらすかもしれないと感じていた。
雪野くんの肌への觸れ方は、私たちの関係の優しさと溫もりを象徴するようなものだと思った。
~雪から生まれてあなたへ~Fin