3.エリンギとお出かけ(和杏鮑菇一起出門)
──翌日。
エリンギと待ち合わせがあるというのに、
信じられないほど寢坊してしまった……。
少しでも急ごうと、 街の中を走る。
──隔天。
明明和杏鮑菇約好要見面的,
但難以置信的是我居然會睡過頭……。
稍微有些著急,我往街上的方向走著。
すると、 待ち合わせ場所にもう少しで著くというところで、
「珍しい」 などと言いながら指を差して盛り上がる人たちがいた。
急がなけれぱいけないのだが、
ふと目に入った光景に、 思わず足を止めてしまう。
然後,就在碰面的地點附近,
有人邊說著「真稀奇」邊用手指著吵了起來。
雖然不得不抓緊時間,但突然映入眼中的光景卻讓人不得不停下腳步。
人々の指差す先には……。
星の形をした、 黃色いきのこが生えていた。
エリンギが言っていた形と、 全く一緒だった。
在人們所指的前方……。
長著一朵星形的,黃色模樣的蘑菇。
和杏鮑菇所說的形狀描述,完全一模一樣。
エリンギ:
こんにちは、 団長さん。
良くないことに、
今日も天気が良いですね……
杏鮑菇:
你好,團長先生。
今天可惜的是,
天氣也很不錯呢……
エリンギは、 そこから遠くない、
待ち合わせ場所の大きな木の下で、
本を読みながら待っていた。
まずは、 かなり待たせたことを詫びる。
杏鮑菇離那裡不遠,
在約好地點的大樹下,
邊看著書邊等我。
首先,為了讓她久等而道歉。
エリンギ:
全然いいですよ。
昨日、 書庫から借りてきた本を読んでいましたから
杏鮑菇:
完全沒有關係喔。
就在昨天,我讀了從書庫裡借來的書
エリンギ:
でもやっぱり、
あのきのこのことは載ってないんですよね……。
かなり専門的な本なんですけど……
杏鮑菇:
但是果然,
關於那種蘑菇的事情完全沒有紀載……。
雖然那是一本相當專業的書……
……そうだ、 きのこ。
エリンギに、 そのきのこが近くで見つかったことを伝える。
……對了,蘑菇。
我告訴杏鮑菇,那朵蘑菇在這附近找到了。
エリンギ:
ほっ、 本當ですか! ?
それは一體、 どこに……
杏鮑菇:
哦,是真的嗎!?
那麼到底,是在哪裡……
あっちの人混みの方だ、 と指差すと、
エリンギは弾かれるように走り出した。
こちらも急いで彼女のあとを追う。
我指著那邊的人群。
杏鮑菇像被彈起來般地跑了出去。
我這邊也追著她跑。
エリンギ:
こっ、これ……このきのこです……!
星の形の、 黃色いきのこ……。
やっぱり、 日差しを浴びています……
杏鮑菇:
這,這個……就是這朵蘑菇……!
星星形狀的,黃色的蘑菇……。
果然,正在沐浴著陽光……
エリンギが、 この生えている場所自體も調べたいことと、
萬が一きのこに毒があった場合のことを街の人に説明し、
「觸らないでください」 との看板を立てた。
杏鮑菇想調查這個生長的地方環境,
把這朵蘑菇萬一有毒的情況向街上的人們進行說明,
並豎起了「請不要碰觸」的立牌。
そして、 彼女は筆記具と紙を取り出し、
きのこのスケッチを始める。
精密かつ迅速で、
日時や気候、 場所などの観察狀況も記録に殘してゆく。
然後,她拿出筆和紙,
開始對蘑菇進行了素描。
精密又快速,
日期、氣候、地點等觀察狀況也保留在記錄中。
エリンギ:
……わたしには、
このきのこが何なのか、 分かりません。
形も、 生えている場所も特徴的ですけど、
どの本にも載っていないので……
杏鮑菇:
……對我來說,
我不知道這朵蘑菇是什麼。
形狀和生長的地方都有特徵,
但是在任何書上都沒有記載……
エリンギ:
今はとりあえず、
このきのこ観察狀況を研究者に送ります。
そこで、 新種のきのこかもしれないとなれぱ、
本格的な調查隊が來るかもしれません
杏鮑菇:
現在暫時,
把這個蘑菇觀察狀況發送給研究者。
然後,如果是新品種的蘑菇的話,
說不定會有真正的調查隊過來呢
そう言いながら、 エリンギの視線はきのこから離れない。
苦手な日差しの中だというのに、
彼女の表情はきらきらと輝いているようだった。
話雖如此,但杏鮑菇的視線仍然不離那朵蘑菇。
明明是在難受的陽光下,
她的表情卻好像在閃閃發光。
──それからしぱらくして、
エリンギのきのこレポートは完成し、
役所で配送の手配も無事に完了した。
ロータスレイクの研究者のもとに送るのだという。
──然後,
杏鮑菇的蘑菇報告完成後,
機關的配送也順利完成。
送到蓮花湖的研究人員那裡。
さて……珍しいきのこの件も一段落したことだし、
今から共に、 エリンギの好きなところヘ行こう。
どこに行きたいか、 と彼女に尋ねる。
那麼……稀有的蘑菇這件事也告一段落了,
從現在開始,一起去杏鮑菇想去的地方吧。
想要去哪裡呢,我這麼問她。
エリンギ:
そ、 それでは……だ、 団長さんの部屋に行きたいです
杏鮑菇:
那,那麼……我,我想去團長先生的房間
まさかの室內……。
いくら好きなところとは言っても……。
居然是室內……。
不管怎麼說都是喜歡的地方呢……。
エリンギ:
そ、 そんなに見つめないでください、 団長さん……。
だ、 駄目ですか……?
杏鮑菇:
別,別那樣盯著我啦,團長先生……。
難,難道不行嗎……?
エリンギ:
室內が好きなんです。
団長さん、 好きなところへ連れてってくれるって、
そう言いましたよね?
杏鮑菇:
我比較喜歡室內。
團長先生,你說過你會帶我去我喜歡的地方的,
沒錯吧?
エリンギが良いなら良いのだが……。
そこが好きな場所と言うならぱ、 そうしよう。
如果杏鮑菇喜歡的話就行了……。
如果要說那裡是妳喜歡的地方的話,那就這樣吧。
エリンギが來たいというから共に執務室に來たものの、
彼女はソワソワしてばかりで、 口數も少なかった。
しかし、 きっと引っ込み思案の彼女なりに
楽しんでいるだろう、 と思っていると……。
因為杏鮑菇想來所以一起來到了我的辦公室,
但她只是心神不定,也沒說什麼話。
不過,對於個性自卑的她
我想一定很享受吧……。
エリンギ:
だ、 だ、 団長さん、 あの……、
わたしと、 これからも、
一緒にいてくれませんか……?
あ、 あの、 団長さんのことが、 好きなんです……
杏鮑菇:
團,團,團長先生,那個……,
從今往後,能和我在一起嗎……?
那,那個,我喜歡團長先生……
エリンギは、 顔を真っ赤にして、 いつになくおどおどしている。
何と答えたらいいかと考えていると、
杏鮑菇的臉變得通紅,和往常一樣戰戰兢兢。
我在想到底該怎麼回答她,
エリンギ:
き、 緊張で、 げ、 げ、 限界です……。
あの、 できれぱ、 早く、 お返事を……
杏鮑菇:
好,好緊張,快,快到極限了……。
那個,可以的話,請盡快,回應我吧……
普段のエリンギなら、
どんなことでもいつまでも待てるのに、
こういうことになると待てなくなるところが可愛らしい。
如果是平常的杏鮑菇,
無論什麼事情都能一直等下去,
這時候居然就等不下去的這一面還真可愛。
彼女の気持ちに応え、 ぎゅっとその身體を抱きしめた。
為了回應她的心意,我緊緊地抱住她的身體。
エリンギ:
団長、 さん……。
団長さん……
杏鮑菇:
團長,先生……。
團長先生……
エリンギもまた、 震える手をこちらの腰にまわしてくる。
そのうちまた、 どごかに一緒に出かけようと提案すると、
杏鮑菇她,也把顫抖的手繞到我的腰部後面。
過了不久,當我提議我們再一起出去的時候,
エリンギ:
……室內がいいんですけど……。
でも、 団長さんとなら、
少し外に出てもいいかもしれません
杏鮑菇:
……還是室內比較好……。
不過,如果是和團長先生的話,
也許我們可以出去一會兒呢
エリンギ:
……団長さんと二人でいる時だけ、 ですよ……?
杏鮑菇:
……不過,只有和團長兩個人在一起的時候喔……?
そう言って、 満面の笑みを浮かべるのだった。
說著說著,便露出了滿臉的笑容。
──後曰、 エリンギのレポ一トは、
ロータスレイクの學者である彼女の両親のもとへ屆いた。
長い調査と研究の結果、 あの星の形をした黃色いきのこは、
まったくの新種であると認められ、 公に発表された。
──在那之後,杏鮑菇所寫的報告,
送到了在蓮花湖當學者的她父母那裡。
經過長期的調查和研究,發現那顆星星形狀的黃色蘑菇,
是完全沒人發現過的新品種,並公開發表了出來。
そして、 発見時にエリンギが
生き生きと描いていたあの絵は、
彼女自身によって色が加えられ、
図鑑などに揭載されることとなるのであった。
然後,那張在杏鮑菇發現時
畫得生動的那幅畫,
被她自行塗上了顏色,
然後刊登在了圖鑑上面。